福岡の経営コンサルタント|笑顔商店

AIは答えを出せる。でも人生は決められない

――阿部慎之助氏の事件から考えるAI時代の人間理解

先日、阿部慎之助氏に関する報道を目にした。

家庭内で娘とのトラブルが発生し、その後、娘が生成AIに相談。児童相談所への相談、警察の介入へと発展し、最終的には監督辞任という結果になったという。

もちろん、私たちは当事者ではない。

家庭内で何があったのか。

どのような会話が交わされたのか。

親子関係はどうだったのか。

本当のところは分からない。

だから私は、この件について誰が悪いとか、誰が正しいとかを語るつもりはない。

しかし、このニュースを見ていて強く感じたことがある。

それは、

「AI時代に人間はどう助言を受け取り、どう判断し、どう人生に活かしていくべきなのか」

ということである。

今回の出来事は、単なる家庭内トラブルでもなければ、単なるAIの問題でもない。

これから私たちが向き合うことになる、新しい時代の入り口なのかもしれない。

なぜ娘はAIに相談したのだろう

私がまず考えたのはそこだった。

なぜ親ではなくAIなのか。

なぜ親族ではなくAIなのか。

なぜ友人ではなくAIなのか。

昔であれば、

親に相談した。

祖父母に相談した。

学校の先生に相談した。

近所の人生経験豊富な大人に相談した。

そういう流れがあった。

もちろん、それが完璧だったとは言わない。

理不尽な大人もいた。

偏見もあった。

しかし少なくとも、相談した相手はその後も人生に関わり続けた。

だから発言には重みがあった。

ところが現代はどうだろう。

核家族化が進んだ。

地域コミュニティは弱くなった。

近所付き合いも減った。

親戚付き合いも薄くなった。

そしてSNSが普及した。

困った時、人はまずスマホを開く。

検索する。

SNSを見る。

そして今はAIに相談する。

AIは24時間対応してくれる。

否定しない。

説教しない。

秘密も漏らさない。

何より気を遣わなくていい。

だから若い世代ほどAIを相談相手に選ぶのは自然な流れなのかもしれない。

私はそれ自体は悪いことだとは思わない。

むしろAIは今後、多くの人を助ける存在になるだろう。

しかし同時に思う。

AIは答えを出せる。

だが人生の責任を取ることはできない。

AIは間違っていたのか

私はそうは思わない。

もし危険性があると判断したのであれば、専門機関への相談を勧めるのは自然なことだ。

おそらくAIは間違ったことは言っていない。

しかし、ここで考えたい。

本人はどんな結果を望んでいたのだろう。

父親に反省してほしかったのか。

暴力をやめてほしかったのか。

話を聞いてほしかったのか。

親子関係を改善したかったのか。

そこは分からない。

しかし実際に起きたのは、

警察介入。

全国報道。

監督辞任。

社会的信用への影響。

家族全体への影響。

だった。

もちろん、その結果が良かったのか悪かったのかは分からない。

しかし私はここで一つ考えた。

もし娘さんが、

「父親に反省してほしい」

と思っていたとして、

父親が仕事を失うことまで想像していただろうか。

全国ニュースになることを想像していただろうか。

自分自身の将来や就職活動への影響まで考えていただろうか。

もちろん考えていたかもしれない。

考えていなかったかもしれない。

それは分からない。

しかし私たちが学ぶべきことはある。

それは、

正しい行動を取った結果が、自分の望む結果になるとは限らない

ということである。

正しいことと、なりたい結果は違う

私は経営コンサルタントとして17年以上、多くの経営者の相談を受けてきた。

その中で痛感していることがある。

多くの人は、

「何が正しいか」

を考える。

しかし本当に重要なのは、

「どうなりたいのか」

なのである。

例えば補助金。

補助金を申請することは正しい。

しかし本当に欲しいのは補助金なのだろうか。

違う。

売上向上であり、

利益向上であり、

会社の成長である。

補助金は手段に過ぎない。

起業も同じだ。

会社を辞めて独立する。

それは行動であって目的ではない。

本当に欲しいのは、

自由かもしれない。

やりがいかもしれない。

家族との時間かもしれない。

ところが独立した結果、以前より忙しくなる人もいる。

つまり、

正しい選択と、

望む結果は必ずしも一致しないのである。

今回の件もそうかもしれない。

私たちはつい、

「何が正しいか」

ばかりを考える。

しかし本当に考えるべきなのは、

「どんな未来を望んでいるのか」

なのではないだろうか。

私が運命学を学んで感じたこと

私は長年、帝王学や運命学を学んできた。

すると、

「占いですか?」

と言われることがある。

もちろんそう見える部分もあるだろう。

しかし私が価値を感じているのは別のところにある。

それは、

人は皆違う

ということを教えてくれるところだ。

昔は経験則として、

人の気質や相性、

運気の流れを重視する文化があったと言われている。

現代のように心理学もなければ、

AIもない。

しかし昔の人たちは、

長い年月をかけて人を観察し、

人を理解しようとしてきた。

私は昔から不思議に思っていた。

なぜ日本には養子という文化が根付いていたのだろうと。

もちろん家を継ぐためという理由もあっただろう。

家業を守るためという事情もあっただろう。

しかし運命学では別の見方をすることがある。

その子の気質によっては、

実家で育てるよりも、

別の環境の方が才能が活きる場合があるという考え方である。

現代の感覚では驚く人もいるかもしれない。

しかし少なくとも昔の人は、

人にはそれぞれ異なる気質があることを経験的に知っていたのではないだろうか。

同じ言葉をかけても、

勇気をもらう人がいる。

傷つく人がいる。

同じ環境でも、

伸びる人がいる。

苦しむ人がいる。

だから昔の人は、

人を見ることを大切にしたのかもしれない。

私は運命学の価値は未来を当てることではないと思っている。

人を理解することだ。

なぜこの人は怒るのか。

なぜこの人は傷つくのか。

なぜこの人には伝わらないのか。

その違いを知るための知恵である。

自分の当たり前は相手の当たり前ではない

例えば阿部氏の生年月日を見ると、一般的な運命学の解釈では三碧木星となる。

三碧木星は、

行動力がある。

正直である。

決断が早い。

思ったことをストレートに言う。

監督や経営者としては大きな強みである。

しかし一方で、

本人は普通に話しているつもりでも、

相手には強く聞こえることがある。

ここで重要なのは、

本人には悪気がないということだ。

むしろ、

「当たり前のことを言っただけ」

と思っていることも少なくない。

しかし受け取る側は、

「傷ついた」

「否定された」

「怖かった」

と感じることがある。

親子でもそう。

夫婦でもそう。

上司と部下でもそう。

経営者と社員でもそう。

私たちはつい、

「何を言ったか」

に注目する。

しかし本当に重要なのは、

どう伝わったか

である。

そして厄介なことに、

人は自分が相手にどう伝わっているかを案外理解していない。

だから、

「そんなつもりじゃなかった」

が起きる。

だから、

「何でそんなことで怒るんだ」

が起きる。

だから、

「話が通じない」

が起きる。

もし今回の件で親子の間に長年のすれ違いがあったのだとしたら、

問題は最後の出来事ではなく、

その前に積み重なった何千回もの会話だったのかもしれない。

科学の進化は止められない

私は今回の件を見ながら、AIだけの問題ではないとも感じている。

振り返れば、人類の歴史は進化の歴史だった。

蒸気機関。

自動車。

電話。

テレビ。

インターネット。

スマートフォン。

新しい技術が生まれるたびに、

便利になる人がいた。

生活が豊かになる人がいた。

その一方で、

恐怖を感じる人もいた。

不安を感じる人もいた。

反対する人もいた。

そして実際に問題も起きた。

交通事故も起きた。

ネット犯罪も起きた。

SNSによる誹謗中傷も起きた。

つまり、

科学が進化する時、その過程で問題が生じるのはある意味当然なのである。

なぜなら、それまでとは違う世界になるからだ。

しかし歴史を振り返ると、

最終的に進化そのものを止めることはできなかった。

AIも同じだろう。

進化を否定する人もいる。

恐怖や不安からくる気持ちもよく分かる。

しかし進化の波は誰にも止められない。

だとしたら、

本当に大切なのは、

進化を否定することではなく、

変化にどう対応するかを学ぶこと

ではないだろうか。

AI時代だからこそ人間を学ぶ

私はAIを積極的に活用している。

文章作成。

企画立案。

市場調査。

教育。

かつて何時間もかかったことが短時間でできるようになった。

AIは素晴らしい。

しかしAIを使えば使うほど感じることがある。

それは、

人間理解の価値が高まっているということだ。

知識はAIが教えてくれる。

分析もAIができる。

しかし、

人を励ますこと。

人を育てること。

人と人をつなぐこと。

相手の気持ちを感じること。

これらはまだ人間の領域である。

結局のところ、

AI時代に必要なのは、

AIを使いこなす技術だけではない。

助言を受け取り、

その先に起きる未来を想像し、

自分で判断する力である。

そして、

自分を理解する力。

相手を理解する力。

私は帝王学や運命学の価値は未来を当てることではなく、

人を理解し、

人を活かすことにあると思っている。

AIは答えを出せる。

しかし人生は決められない。

だからこそAI時代には、

これまで以上に人間を学ぶ必要がある。

もしかすると、最先端のAIを使いこなすこと以上に、

目の前の人を理解することの方が、

これからの時代は価値が高くなるのかもしれない。

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髙栁 和浩 笑顔商店株式会社 代表取締役