香港と深圳を歩いてわかった、近いのにこんなに違う二つの都市

今回、香港を経由して深圳へ行ってきた。

深圳を訪れた一番の目的は、最新のAIやロボットの動向を自分の目で見ることだった。

中国の中でも深圳は、テクノロジー産業が集積する都市として知られている。実際にどこまで進んでいるのか。それを見てみたかった。

AIやロボットについては面白いものをたくさん見ることができたので、これは別の記事で詳しく書きたい。

今回は、香港と深圳という隣り合った二つの都市を実際に歩いて感じた違いについて書いてみる。

久しぶりのJALで香港へ

今回は東京経由で香港へ向かった。

普段はANAを使うことが多いのだが、JALのマイルが有効期限を迎えそうだったので、久しぶりにJALを利用した。

行きはマイルを使ってビジネスクラスにした。

久しぶりのJALは快適だった。

特に接客がよかった。

もちろん担当する人による部分は大きいと思うが、今回に限っていえば、「ANAよりJALの方が接客はいいんじゃないか」と感じるくらいだった。

普段使っているものから離れてみると、違いがよく見える。

考えてみれば、今回の香港と深圳の旅も、そんな旅だったのかもしれない。

朝4時過ぎ、香港到着

香港国際空港に到着したのは朝4時過ぎ。

エアポートエクスプレスの始発を待ち、6時過ぎに香港駅へ。そこから電車を乗り継ぎ、ホテルに着いたのは7時過ぎだった。

当然、こんな時間にチェックインできるとは思っていない。

荷物だけ預けようとフロントへ行ったところ、なんとそのまま部屋に通してもらえた。

これは予想外のラッキーだった。

すぐにシャワーを浴び、少し休んでから街へ出た。

初日は香港島側の博物館を中心に、ぶらぶら街歩きをした。

香港ではChatGPTがそのままでは使えなかった

まず驚いたのが、ChatGPTがそのままでは使えなかったことだ。

これは翌日入った深圳でも同じだった。

今回はVPNを使うことでアクセスできたが、日本と同じ感覚でそのまま使えるわけではない。

ただし面白かったのは、GensparkやPerplexityは、少なくとも今回の滞在中は普通に使えたことだ。

さらに、事前に調べると、中国本土ではLINE、Facebook、Instagramも使えないという情報が出てくる。

ところが今回、実際に深圳で使ってみると、これらも普通に使えた。

もちろん通信環境による違いはあると思う。

今回の私の環境では、

LINE、Facebook、Instagram、Genspark、Perplexityは使えた。
ChatGPTはそのままでは使えなかった。

という結果だった。

中国では何も使えない、という単純な話ではない。

サービスや通信環境によって違う。

これも実際に行ってみて初めてわかったことだった。

香港ではクレジットカード中心で困らない

もう一つ気になったのが決済だった。

香港では基本的にVisaやMastercardのクレジットカードがあれば、ほとんど困らなかった。

電車でもクレジットカードのタッチ決済が使えた。

ところが医学博物館でチケットを買おうとすると、クレジットカードが使えず、Alipayなら使えると言われた。

今回の深圳行きに備えてAlipayにクレジットカードを登録していたので、

「それなら大丈夫」

と思った。

ところがエラーになる。

あとで調べてみると、香港ではAlipayHKという香港向けの仕組みもあり、中国本土で使うAlipayと同じ感覚では使えないようだった。

香港と深圳はすぐ隣なのに、決済の仕組みは意外と違う。

香港のUberが面白い

香港ではUberも使ってみた。

これが日本やアメリカで使ったUberとは少し違っていて面白かった。

アプリを開くと、Uberの車だけではなくタクシーも選ぶことができる。

しかもUberが必ずしも安いわけではない。

時間帯によってはタクシーの方が安い。

料金と到着予定時間が表示されるので、それを見ながら利用者が選ぶ仕組みなのだろう。

私も実際にタクシーを選んでみたが、支払いはUberと同じように登録したカードから自動決済された。

これは便利だった。

Uberとタクシーを別物として考えるのではなく、同じアプリの中で比較して選ぶ。

香港の移動サービスは、なかなか合理的だと思った。

2日目、電車で深圳へ

翌日は電車で深圳へ向かった。

羅湖で降りて、中国本土への入国審査を受ける。

入国カードは事前に申請しておいた。

審査では、

「どこへ行くのか」
「目的は観光か」

といった質問を受けた。

朝9時過ぎだったと思うが、このとき入国審査に並んでいる日本人は、私以外には見当たらなかった。

入国審査を終え、いよいよ中国本土へ。

まず地下鉄でホテルへ向かった。

到着したのは10時頃。

すると、香港に続いて深圳でも、なんとすぐにチェックインできた。

今回の旅はホテル運がいい。

部屋で少し休んでから、最初の目的地である科学館へ向かった。

深圳では地下鉄が便利

深圳での移動は、ほとんど地下鉄だった。

地下鉄網が発達していて、今回行きたかった場所も最寄り駅から近いところが多かったので、結局タクシーは一度も使わなかった。

翌日、現地のガイドさんに聞くと、深圳ではDiDiがよく使われているという。

ちなみに香港でも深圳でも、電車や地下鉄でクレジットカードのタッチ決済が使えた。

これは外国人旅行者にはありがたい。

実は深圳に入ってから、中国元への両替をするのをすっかり忘れていたことに気づいた。

前日に香港でAlipayが使えなかったので、少しドキドキしたが、深圳では無事に使えた。

「これなら大丈夫」

と思ったのだが、そう簡単ではなかった。

深圳の地下鉄では改札前にセキュリティチェック

深圳の地下鉄で、もう一つ驚いたことがある。

駅に入って改札を通る前に、必ずセキュリティチェックを受けるのだ。

荷物を持っている人は、手荷物を検査機に通す。

一部の人だけではない。

私が利用した駅では、地下鉄に乗る人は基本的に全員がチェックを受けていた。

最初は少し驚いたが、何度か地下鉄を使っているうちに、「深圳ではこれが普通なんだ」とわかった。

香港の地下鉄では、このようなチェックはなかった。

日本でも、通常の地下鉄に乗る前に毎回手荷物検査を受けることはない。

香港と深圳は隣り合った都市だが、地下鉄ひとつ取っても、安全管理の考え方はかなり違う。

こうした日常の仕組みにも、中国本土に入ったことを実感する違いがあった。

QRコードなのに注文できない

飲食店に入り、テーブルに置いてあるQRコードから注文しようとした。

日本にいるときと同じ感覚で、普通のQRコードリーダーから読み取る。

ところが、なぜか広告のような画面が出てきて、肝心のメニューが出てこない。

店員さんに聞くと、中国語で何か叫んでいる。

よく聞き取れない。

結局その店では注文できず、店を出た。

あとから考えると、「WeChat Pay」と言っていたような気がする。

さらに調べてみてわかった。

中国では、QRコードを普通のカメラで読み込むのではなく、Alipayなどのアプリ側からスキャンするケースがある。

「なるほど」

と思って、別の店で今度はAlipayから読み込んでみた。

今度はメニューが出た。

商品も選べる。

ところが、最後の決済画面に進まない。

結局その店でも、別の方法で注文することになった。

深圳は確かにキャッシュレス社会だった。

ただし、外国人にとっては、

「キャッシュレス=簡単」ではない。

仕組みを知っているかどうかで、便利さが大きく変わる。

これは実際に行ってみないとわからなかった。

香港も深圳も街に活気がある

香港も深圳も、街にはかなり活気があった。

そして共通して感じたのが、街がきれいだということ。

歩いていてもゴミはほとんど落ちていなかった。

中国というと、PM2.5などで空気が悪いというイメージを持っている人もいるかもしれない。

私自身も多少そんなイメージを持っていた。

しかし今回の深圳では、空気の悪さはほとんど感じなかった。

滞在中に確認した空気質の数値も、特に気になるレベルではなかった。

そして、香港も深圳も、高層ビルだけの街ではない。

高層ビルの足元には、個人商店が並ぶ活気のある商店街がある。

私が深圳で泊まった「老街」は、東京でいえば上野や巣鴨に近いような雰囲気を感じた。

昔ながらの商店街が賑わい、そのすぐ近くには新しい高層ビルが建っている。

古い街と新しい街が自然に混ざっている。

香港にも同じように、個人商店の活気がある。

ただし、街全体のスケールは深圳の方が大きく感じた。

香港が「密度の高い街」だとすれば、深圳は「横にも縦にも広がっている街」という印象だ。

実際、深圳は香港より面積が広く、人口も多い。

歩いていて「深圳の方が街のスケールが大きい」と感じたのは、単なる印象でもなかったようだ。

電車の中は意外と静かだった

もう一つ面白かったのが、電車の中だ。

香港でも深圳でもスマートフォンを見ている人はもちろん多い。

ただ、私が乗ったときの印象では、香港の方がスマホを触っている人の割合は高かった。

そして日本に帰ってくると、さらに多いように感じる。

もちろん統計を取ったわけではない。

あくまで今回、私が見た範囲での印象だ。

深圳というと、スマホ社会というイメージが強い。

実際、決済や注文など生活インフラとしてのスマホ活用はかなり進んでいる。

でも、

「スマホ社会」と「みんながスマホばかり見ている社会」は同じではない。

そんなことも感じた。

中国人は声が大きい、というイメージを持っている人も少なくないと思う。

ところが深圳の地下鉄は、基本的には静かだった。

一度、孫に向かって「ここに座れ」と大声で叫んでいるおばさんがいたが、それを見ながら、

「まあ、日本でいう大阪のおばちゃんみたいなものかな」

と思った。

どこの国にも元気なおばちゃんはいる。

一部の目立つ人だけを見て、その国全体のイメージを決めてはいけないなと思った。

香港は高い、深圳は安い

物価については、かなり違いを感じた。

香港は高い。

一方、深圳は比較的安い。

たとえば330ml程度の水が、日本円で50円くらいだった。

ただし、深圳ならどこでも安いわけではない。

歩いていると、場所によって価格差がかなりあるように感じた。

商店街と新しい商業施設でも違う。

「深圳は安い」というより、

香港に比べれば全体的に安いが、場所によってかなり差がある。

これが今回の実感だった。

治安はどちらも悪いとは感じなかった

治安については、香港も深圳も特に悪いとは感じなかった。

もちろん私は夜遅くまで出歩いていないので、あくまで昼間から夜の比較的早い時間まで歩いた範囲での話だ。

それでも、「深圳だから怖い」と感じるような場面は一度もなかった。

香港は「密度」、深圳は「スケール」

香港と深圳。

地図で見れば、本当にすぐ隣にある。

実際、電車で国境を越えることができる。

街を歩いて感じた共通点も多かった。

どちらも高層ビルがあり、昔ながらの商店街にも活気がある。

街はきれいで、人も多く、エネルギーを感じる。

ただし、似ているようで違う。

香港ではクレジットカードやUberが使いやすい。

深圳ではAlipayなどのスマホ決済が生活の中に深く入り込んでいる。

香港では地下鉄に乗る前の手荷物検査はない。

深圳では、改札を通る前に乗客がセキュリティチェックを受ける。

香港は街の密度を感じる。

深圳は都市そのものの大きさを感じる。

どちらがいい、悪いという話ではない。

こんなに近い二つの都市が、それぞれ違う形で発展している。

そこが今回、一番面白かった。

なお、今回訪れたのは中国の国慶節の大型連休中だった。

そのため、人出や交通、街の雰囲気などは普段とは少し違っていた可能性がある。

それでも、ネットやニュースから持っていたイメージと、実際に歩いて見た香港・深圳には、かなり違いがあった。

やはり街は、自分の足で歩いてみないとわからない。