福岡の経営コンサルタント|笑顔商店

島原・四明荘に学んだ、濁らない心の保ち方

―2026年「一白中宮」の荒波を、清流に変える「誠実」の力

「水の都」に佇む、鏡のような庭園

長崎県島原市。雲仙の麓に位置するこの街は、足を踏み入れた瞬間から、至る所で心地よいせせらぎが聞こえてきます。街路の脇を流れる水路には、色鮮やかな鯉が優雅に泳ぎ、住人たちが日常的に湧水を汲みに来る。そんな「水の都」の象徴とも言える場所が、今回の目的地「湧水庭園 四明荘(しめいそう)」です。

明治時代に別邸として建てられたこの建築に足を踏み入れ、座敷に腰を下ろした瞬間、私は言葉を失いました。 三方を池に囲まれた座敷は、縁側の段差が極限まで抑えられ、まるで建物が水面に直接浮いているかのような設計になっています。静止した水面は、周囲の木々や空を完璧なまでに映し出し、現実と反射の境界線がどこにあるのかさえ分からなくなるほどです。

何より圧倒されたのは、その水の透明度です。 「水がある」という事実そのものを忘れてしまうほどに澄み切っており、大きな鯉たちが悠々と泳ぐ姿は、まるで透明な空気の中を浮遊しているかのようでした。鯉の影が池の底にはっきりと映る。その様子を眺めているだけで、都会の騒音や日々の細々とした思考のノイズが、スルスルと溶け出していくのを感じました。

ふと壁に目を向けると、仲里依紗さんや長濱ねるさんといった、長崎が生んだ著名人たちのサインが飾られていました。多忙を極め、常に多くの視線にさらされている彼女たちもまた、この静寂と透明な水に触れ、本来の自分を取り戻しに来たのでしょう。ここには、肩書きや役割といった「鎧」を洗い流し、心を真っ新な「無」に戻してくれる、根源的な力が宿っていました。

「ほとんど手入れ不要」という衝撃の真実

私はこの美しさがどう維持されているのか、その舞台裏を知りたくてスタッフの方に尋ねてみました。 「これほど透明な状態を保つには、さぞかし緻密な管理をされているのでしょうね」

返ってきたのは、驚くべき答えでした。 「いえ、一週間に一度、どうしてもできてしまう藻を掃除する程度ですよ。ここは、1日に3,000トンもの新しい水が常に湧き出し、流れ続けていますから」

その瞬間、私の中に強い衝撃が走りました。 特別な薬品や浄化装置があるわけではなく、圧倒的な量の新しい水が常に湧き上がり、古い水を絶えず押し流している。その「流れ」そのものが、不純物を留まらせず、透明度を保つ最大の要因だったのです。

当日、たまたまテレビの取材が入っていましたが、そこで供された一杯のお茶が、その事実をさらに深く教えてくれました。 庭園を巡り、池を満たしている水も十分に清らかですが、お茶に使われるのは、どこにも触れていない、まさに今地中から自噴したばかりの「生まれたての水」。その贅沢さ、その鮮度には、言葉にならない感動を覚えました。

私はそこで、ある一つの確信を得ました。 美しさを保つのは、見せかけの管理や、ましてや「知ったかぶり」の知識ではありません。 知ったかぶりをせず、常に学び、誠実に動き、小さな変化に気づき、改善を繰り返す。 この「澱ませない姿勢」こそが、四明荘の美しさを支える本質だったのです。

「常に新しく、動き、学び続けている」という圧倒的な事実(流れ)があるからこそ、小手先の手入れに頼らずとも、心は濁らずにいられるのだと、お茶の喉越しとともに深く合点がいきました。

一白水星の教え:内面のメンテナンスと「藻」の掃除

ここで、私が大切にしている九星気学の視点から、この体験をさらに深く掘り下げてみたいと思います。 今年、2026年は「一白水星(いっぱくすいせい)」が中宮(中心)に座る年です。世界全体のエネルギーが「水」の性質を帯びる一年と言えます。

一白水星は「智(知恵)」や「柔軟性」を司る一方で、出口を失えば「悩み」や「停滞」という深い穴(坎)に落ちやすい性質も持っています。 一白のエネルギーが、四明荘の湧水のように常に「更新」されているときは、周囲を潤し、どんな環境にも適応する素晴らしい力を発揮します。しかし、知識を得ただけで満足し、「知ったかぶり」をして学びを止めた瞬間、心は濁り始め、出口のない悩みの淵に沈んでしまいます。

スタッフの方が言う「週に一度の藻の掃除」とは、私たちにとっての「内面の振り返り」ではないでしょうか。 大きな流れを信じつつも、自分の中に生じる小さな「澱み(雑念や慢心)」を放置しない。昨日までの自分に固執せず、常に自分を「空」にして新しい学びや変化を取り入れる。 その誠実なメンテナンスこそが、一白中宮という変化の激しい年を、濁らずに生き抜くための唯一の知恵となります。

苦難を清流に変える「テスト」の繰り返し

2026年は、決して明るく平坦な道ばかりではないかもしれません。むしろ「坎」が示す通り、困難を試される場面も多いでしょう。 しかし、四明荘の湧水が、暗い地中を通り、冷たい岩の間を潜り抜け、幾重もの地層で濾過(ろか)されることであの透明度に至るように、「苦難」こそが私たちの純度を高めるフィルターになります。

大切なのは、そこで足を止めないことです。 「失敗を恐れずに、明るく前向きにテストを繰り返す」。 一度の失敗で「もうダメだ」と立ち止まってしまえば、そこは淀みとなり、腐敗が始まります。しかし、誠実に動き、改善(テスト)を繰り返すなら、失敗という経験はすべて、自分という「清流」を形作る一部へと浄化されます。

水が岩にぶつかっても、その形を自在に変えて次のルートを探すように。 私たちもまた、知ったかぶりをせず謙虚に学び、小さな変化に気づき、今日より良い明日を目指してテストを繰り返す。その流動性こそが、荒波を清流に変える力なのです。

結びに

「濁らない」ということは、動かないことではなく、新しくなり続けることです。 四明荘の静かな水面を眺めながら、私は大切なことを再確認しました。

「知ったかぶりをせず、学び、誠実に動き、気づき、改善する」。 この極めてシンプルで、しかし誠実な姿勢こそが、私たちの心を、そしてこれからの時代を清らかに保つ唯一の道なのだと。

2026年、一白中宮の年。どんな困難が来ようとも、私たちは水のように柔軟に、そして誠実に。 一週間に一度の「心の掃除」を欠かさず、常に新しいテストを繰り返し、濁りのない未来へと流れていきましょう。

島原の湧水が教えてくれたこの「澱みなき智慧」を胸に、私もまた、濁りのない清らかな流れの中に身を置いていたい。そう決意を新たにした、冬の日の午後でした。

髙栁 和浩 笑顔商店株式会社 代表取締役