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境界線を越えて、土地の記憶に溶け込む――「祖国」と「母国」が編みなす新しい日本人論

現代社会において、「外国人問題」という言葉を耳にしない日はありません。欧州での移民政策の転換、米国での国境問題を巡る分断。そして日本でも、政治の場において「日本人ファースト」を掲げる声が上がれば、即座にそれを「人種差別的である」と感情的に批判する声が上がります。保守的な立場を「極右」と断じる短絡的なレッテル貼りも散見されます。

しかし、こうした政治的な対立の根底にあるのは、実は「私たちはこの土地をどう捉えているのか」という、もっと根源的で人間的な問いではないでしょうか。

2025年後半、高市政権が誕生したことで、日本でもようやく外国人問題に対する実務的かつ本質的な議論が始まりました。この議論を深めるためには、単なる数字や法律の議論を超えて、私たちが無意識に混同している「祖国」「母国」という二つの概念を整理する必要があります。

「祖国」と「母国」――血の繋がりと、魂の育み

まず、この二つの言葉の定義を明確にしましょう。

・祖国(Fatherland / Homeland):自分の先祖が代々暮らしてきた国、あるいは自分が生まれた国を指します。これは「血縁」や「出自」に基づく概念であり、変えようのない歴史的な事実です。

・母国(Motherland):自分が育ち、アイデンティティを形成した国。あるいは、現在の自分を慈しみ、守ってくれている国を指します。これは「教育」や「経験」、そして「愛着」に基づく概念です。

多くの人は祖国と母国が一致していますが、移住者やその子孫にとっては、この二つは往々にして乖離します。祖国で必ずしも幸福になれるとは限らない。しかし、母国は自分を育ててくれる場所であり、そこには必ず自己実現の道がある。この感覚こそが、これからの多文化共生を考える鍵となります。

「海遊民族」縄文人の驚異的な航海術

日本は「一度も外国の支配を受けたことがない国」とされますが、それは決して閉ざされた歴史を意味しません。2024年から2025年にかけて、国立科学博物館などの研究チームが発表した最新の知見は、私たちの想像を絶する「開かれた古代」を浮き彫りにしています。

縄文人は、単なる「定住型の狩猟採集民」ではありませんでした。彼らは高度な航海技術を持つ「海遊民族」だったのです。

・丸木舟の発見:千葉県市川市の雷下遺跡などで発見された丸木舟は、外洋に出るための十分な強度と構造を備えていました。

・黒曜石のネットワーク:伊豆諸島の神津島でしか採れない良質な黒曜石が、関東や信州の遺跡から大量に発見されています。これは、縄文人が激しい潮流を乗り越え、数十キロもの外洋を頻繁に往来していた動かぬ証拠です。

・三内丸山遺跡と「海の道」:青森県の三内丸山遺跡で見つかるヒスイ(新潟県糸魚川産)などの流通も、日本海側を通る大規模な海上交易ルートが存在したことを示唆しています。

DNA最新研究が示す「3系統説」と多文化的背景

さらに、DNA解析技術の進展は「日本人」の定義をより多層的なものに書き換えました。2024年に理化学研究所などが発表した大規模なゲノム解析により、従来の「縄文人と弥生人の二重構造モデル」は修正を迫られています。

現代日本人のゲノムは、従来の「縄文系」「渡来系(関西に多い)」に加え、「東北系」という第3のルーツが存在することが明らかになりました。これは、古墳時代以降も大陸との交流が続き、異なる集団が重層的に混ざり合って「日本人」が形成されたことを示しています。

また、縄文人のDNAは、東アジアの他の集団とは2万年以上前に分岐した極めてユニークな系統であることも再確認されました。このユニークなDNAが、後にアメリカ大陸へ渡った可能性も議論されています。アメリカ北西部のクーパーズ・フェリー遺跡で発見された約1万6000年前の石器(有舌尖頭器)が、縄文時代のものと酷似している点や、南米アマゾンの先住民にオーストラリア先住民や東南アジア古代人と共通のDNAが見つかっている点。これらは、かつて縄文人が駆け巡った「環太平洋の海」が、人類の壮大な移動ルートであった可能性を物語っています。

「土地」が人を変えていくという真実

ここで、最も重要な考察に辿り着きます。それは「土地が人を変える」という事実です。

「日本人ファースト」という言葉を差別だと批判する人々は、しばしば「血統」という閉ざされた枠組みだけで物事を考えています。しかし、歴史が証明しているのは、日本という土地が持つ圧倒的な「感化力」です。

その土地が持つ空気、水、食べ物、そして四季の移ろい……。それらは、そこに住む人間の精神構造を、時間をかけて確実に作り変えていきます。「親子三代住めば、その土地の人になる」という言葉は、決して根拠のない迷信ではありません。どんなに異なるルーツを持っていても、日本の土を踏み、日本の礼節の中で暮らせば、その人の魂には「日本的なるもの」が宿り始めます。政治的に「日本人ファースト」を掲げることは、排外主義ではありません。それは、この日本という土地が持つ独自の精神性や秩序を大切に守り抜こうとする決意です。この秩序こそが、後にやってくる人々をも育む「母の懐」になるからです。

結論:母国への恩義、そして新たな「日本人」へ

私たちは今、最新の科学によって「日本という土地が、常に世界の波を受け入れ、また世界へ漕ぎ出していく『中継地』であった」という歴史を再発見しています。

私たちは縄文人から「海への探究心」と「異なるものを受け入れる寛容さ」を受け継いでいます。そして、この土地で育まれた文化こそが、国籍や血統を超えて人を「日本人」へと変えていくのです。

もし、日本という土地が、ある人にとって自分を育み、生活を守ってくれる「母国」となったならば、そこには自然と「恩義」という感情が芽生えるはずです。自分を育ててくれた母を慈しむように、この国を愛し、その繁栄のために尽くそうとする。これこそが、真の意味での共生ではないでしょうか。「祖国」は選べませんが、「母国」は魂の選択です。 日本が、志ある人々にとって「自分を育ててくれた唯一無二の母国」であり続けるために。私たちはこの土地の秩序を守り、同時に、恩義を感じて共に歩もうとするすべての人を、縄文以来の寛容さで受け入れる土壌を持ち続けなければなりません。

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髙栁 和浩 笑顔商店株式会社 代表取締役