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劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 『猗窩座再来』に思うこと – 心を焦がす愛と憎しみ、そして現代社会への問いかけ

空前の大ヒットを記録したアニメ『鬼滅の刃』。その新たな劇場版であり、最終決戦の幕開けとなる『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 『猗窩座再来』』が、2025年7月18日に公開された。私もその熱狂に身を投じた一人であり、公開から間もないながらも、IMAXの美しい映像で二度も鑑賞してしまった。

上映時間155分という長尺であり、物語の核心に深く関わる上弦の参・猗窩座の過去が詳細に描かれている本作。この過去描写については、必要性を疑問視する声も一部で見受けられるようだが、私にとっては二度の鑑賞いずれにおいても、涙腺を緩ませる心を強烈に揺さぶられる場面だったと言わざるを得ない。原作を読了しているにも関わらずだ。

猗窩座、その壮絶な過去が問いかけるもの

猗窩座――鬼でありながら、武術の鍛錬に異様な執念を燃やし、強者との戦いを求めるその姿は、多くの読者・観客に強烈な印象を与えてきた。しかし、本作で深く掘り下げられた彼の人間時代の記憶は、彼の行動原理に潜む深い悲しみと愛情を示していた。

愛する父を病で失い、貧困の中で懸命に生きるしかなかった幼少の狛治(猗窩座の本名)。彼を救い、武術の道を示してくれた慶蔵とその娘・恋雪との穏やかで幸福な日々。しかし、それらは無惨な形で終わりを告げる。毒によって命を落とした恋雪と慶蔵。愛する二人を守れなかったという絶望と無力感は、狛治の心を深く蝕み、世の中への憎しみへと変貌していく。

「強くなければ何も守れない」

この強烈な後悔と自責の念が、彼を鬼へと誘い、ただ強さのみを追い求める存在へと変えてしまったのだ。愛する人を守りたいという純粋な願いが、残酷な運命によって歪められ、悲劇的な結末を迎える。このコントラストこそが、猗窩座というキャラクターの最大の魅力であり、観る者の心を深く揺さぶる要因なのだろう。

二度目の鑑賞時、私は特に恋雪が病に倒れてからも、懸命に彼女を支えようとする狛治の姿、そして、亡骸を抱きしめ、慟哭する彼の姿に心を締め付けられた。彼の流す涙は、失われた愛への悲しみだけでなく、自らの無力さ、そして世界への絶望の色を深く帯びていたように感じた。

現代社会に潜む「鬼」を生む土壌

猗窩座の悲劇的な過去を目の当たりにする中で、ふと現代の日本の社会構造にも、彼のようないわば「鬼」を生み出しやすい土壌があるのではないか、という考えが頭をよぎった。

例えば、昨今議論の的となっている賃上げの問題。政府は賃上げを推奨するものの、社会保険料や税金の負担が増加することで、結局のところ手取り額はほとんど変わらない、あるいは減少してしまうという人も少なくない。物価は上昇の一途を辿り、日々の生活は厳しさを増すばかり。頑張って働いても報われないと感じる人が、今の日本には数多く存在するのではないだろうか。

経済的な困窮だけでなく、不安定な雇用、長時間労働、将来への不安など、現代社会には人々の心を疲弊させ、追い詰める要因が数多く存在する。かつての狛治が、貧困という過酷な環境の中で大切なものを失ったように、現代社会においても、様々なプレッシャーの中で心を痛め、希望を見出せなくなってしまう人がいるのかもしれない。

もちろん、鬼舞辻無惨のような絶対的な悪が存在するわけではない。しかし、社会の歪みや制度の不備が、人々の間に不満や怒りを生み出し、時にそれが他者への攻撃性や社会への憎しみといった負の感情へと転化してしまう可能性は否定できないだろう。

「そう、私怒っているのですよ!炭治郎君」

賃上げしても手取りが増えない、物価だけが上がっていく現状。このような状況を作り出した政治家や官僚には、もっと真剣に国民の声に耳を傾け、責任ある行動を取ってほしいと強く思う。

作中に登場する胡蝶しのぶが、穏やかな表情の裏に強い怒りを秘めているように、私もまた、現状に対する怒りを覚えている。「そう、私怒っているのですよ!炭治郎君」と、心の中で呟いてしまうのだ。

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 『猗窩座再来』』基本情報と驚異的な記録

改めて、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 『猗窩座再来』』の基本情報を整理しておきたい。

・公開日: 2025年7月18日(金)

・上映時間: 155分(2時間35分)

・映倫区分: PG12

・上映館数: 全国452館(「無限列車編」を上回る規模)

・制作形態: 全三部作の第一章

あらすじとしては、鬼の始祖・鬼舞辻無惨の策略により、鬼殺隊が鬼たちの根城である異空間・無限城へと落とされ、各々が鬼との死闘を繰り広げる中、炭治郎が上弦の参・猗窩座と再び対峙するという、物語の核心である最終決戦の幕開けが描かれている。これまでの戦いで積み重ねてきた絆と成長が試される、まさに「決戦の火蓋を切る」展開だ。

主要キャスト・声優陣も豪華絢爛だ。

主人公チーム

・竈門炭治郎:花江夏樹

・竈門禰豆子:鬼頭明里

・我妻善逸:下野紘

・嘴平伊之助:松岡禎丞

・栗花落カナヲ:上田麗奈

・不死川玄弥:岡本信彦

柱(はしら)

・冨岡義勇(水柱):櫻井孝宏

・胡蝶しのぶ(蟲柱):早見沙織

・時透無一郎(霞柱):河西健吾

・甘露寺蜜璃(恋柱):花澤香菜

・伊黒小芭内(蛇柱):鈴村健一

・不死川実弥(風柱):関智一

・悲鳴嶼行冥(岩柱):杉田智和

・宇髄天元(元音柱):小西克幸

新規キャスト

・慶蔵:中村悠一

・恋雪:Lynn

・獪岳:細谷佳正

そして、本作は興行収入においても驚異的な記録を打ち立てている。

・公開17日間で興行収入176億円突破(2025年8月4日時点)

・観客動員数1,255万8,582人

・歴代興行収入第10位にランクイン(「踊る大捜査線 THE MOVIE2」の173.5億円を超越)

・日本映画史上最速で100億円突破(公開8日間)

・前作「無限列車編」を上回るペース(興行収入対比111.6%)

これらの数字は、『鬼滅の刃』という作品が社会現象としていかに大きな影響力を持っているかを如実に示していると言えるだろう。

主題歌もまた、作品の世界観を深く表現している。W主題歌として、Aimer(エメ)の「太陽が昇らない世界」が使用されており、その力強くも切ない歌声が、物語の感情的な部分を際立たせている。その他の楽曲情報も、今後の公開が期待される。

制作スタッフには、原作の吾峠呼世晴氏、監督の外崎春雄氏、アニメーション制作のufotable(ユーフォーテーブル)など、これまで『鬼滅の刃』シリーズを手掛けてきた強力な布陣が再集結。前作を超える規模での制作・公開ということもあり、映像クオリティの向上は目覚ましいものがある。特に無限城の複雑な構造や、鬼たちの異形な姿、そして剣戟の迫力は、IMAXのスクリーンでこそ最大限に堪能できるだろう。

今後の展開への期待

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』は、全三部作構成であることが発表されている。

・第一章「猗窩座再来」:2025年7月18日公開済み

・第二章・第三章:公開時期未発表(海外メディアは続編の早期公開を予想)

第一章がこれほどの熱狂を生み出しているだけに、続く第二章、第三章への期待は高まるばかりだ。無限城での激闘はこれからが本番であり、炭治郎たち鬼殺隊と、無惨率いる鬼たちとの最終決戦がどのように描かれるのか、想像するだけで胸が高鳴る。

また、グリーティング付上映会の開催決定や、テレビアニメ「柱稽古編」の再放送(8月11日より5日連続)、劇場グッズの販売、コラボダイニングの展開など、様々な関連企画も予定されており、『鬼滅の刃』の熱はまだまだ冷めそうにない。

まとめ – 『猗窩座再来』が示す普遍的なテーマ

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 『猗窩座再来』』は、単なる人気アニメの劇場版という枠を超え、人間の持つ愛と憎しみ、強さと弱さ、そして理不尽な運命といった普遍的なテーマを深く掘り下げた作品だと感じた。特に猗窩座の悲劇的な過去は、観る者の心に深く突き刺さり、様々な感情を呼び起こす。

そして、彼の物語を通して垣間見える社会の歪みは、現代を生きる私たちにとっても決して他人事ではない。日々の生活の中で感じる閉塞感や不条理さ、そして大切なものを守りたいという願いは、時代を超えて共感を呼ぶものだろう。

三部作の幕開けとして、これほどの衝撃と感動を与えてくれた本作。今後の展開が 楽しみでならない。鬼滅の刃シリーズの集大成に向けた期待は、高まる一方だ。

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髙栁 和浩 笑顔商店株式会社 代表取締役