福岡の経営コンサルタント|笑顔商店

久留米のグルメといえば・・・

先日、ご先祖様のお墓参りのため、故郷である福岡県久留米市へ足を運びました。久留米は、私にとって子供の頃から慣れ親しんだ土地であり、街の風景や空気感には特別な想い入れがあります。特に、久留米の食文化は私の記憶に深く刻まれており、帰省のたびに必ずと言っていいほど堪能しています。

今回の帰省は、日中の暑さを避けて夕方からの行動となりました。お墓参りを無事に終え、時計を見ると17時を少し過ぎたところ。さて、この日の夕食をどうしようかと考えました。久留米といえば、魅力的なグルメの選択肢が豊富にあります。

まず頭に浮かんだのは、やはりとんこつラーメンです。豚骨を長時間煮込んだ濃厚なスープは、久留米が誇るべき食文化の象徴と言えるでしょう。福岡県内には数多くのとんこつラーメン店がありますが、そのルーツは久留米にあります。昭和初期、久留米で創業した「南京千両」という屋台が、豚骨スープを改良し、現在のとんこつラーメンの原型を作り上げたとされています。それ以来、久留米のラーメンは進化を続け、地元の人々はもちろん、県外、そして海外のラーメンファンをも魅了し続けています。

久留米ラーメンの特徴は、店ごとに個性豊かな豚骨スープにあります。あっさりとした飲みやすいスープから、豚骨の旨味が凝縮された濃厚なスープまで、そのバリエーションは多岐にわたります。麺の太さや硬さ、トッピングなども店によってこだわりがあり、食べ歩きをするだけでも十分に楽しめます。久留米市内には、老舗の名店から新しいスタイルのラーメン店まで、数多くのラーメン店が軒を連ねており、その日の気分や好みに合わせてお店を選ぶことができます。

次に思い浮かんだのは、餃子です。実は久留米には、全国的に有名な餃子店が存在します。それが、「ぎょうざ五十番」です。このお店は、かつてグルメサイトの食べログで餃子部門の全国1位を獲得したことがあり、あの国民的コメディアンであった志村けんさんから「日本一うまい餃子」とまで言わしめたことで知られています。一口食べれば、パリッとした薄皮の中からジュワッと溢れる肉汁と、ニンニクの風味が食欲をそそります。その美味しさは、一度食べたら忘れられないほどです。

久留米には、「ぎょうざ五十番」以外にも、多くの餃子専門店が存在します。それぞれのお店が独自のこだわりを持ち、餡の配合や皮の厚さ、焼き加減などに工夫を凝らしています。ラーメン店でも美味しい餃子を提供しているところが多く、久留米はまさに餃子天国と言えるかもしれません。地元の人々は、ラーメンと一緒に餃子を食べるのはもちろんのこと、餃子をつまみにビールを楽しむのも日常的な光景です。

そして、私が強く惹かれるもう一つのグルメが、焼きとりです。久留米は、「焼きとりのまち」として全国的に知られています。その歴史は古く、昭和初期にはすでに多くの焼きとり店が存在していたと言われています。久留米の焼きとりの特徴は、豚肉を使った串焼きが多いことです。鶏肉だけでなく、豚バラや豚足、そして特に有名なのが豚の腸である「ダルム」です。

ダルムは、独特のコリコリとした食感と、噛むほどに広がる濃厚な旨味が特徴で、久留米の焼きとりには欠かせない存在です。各店が独自の仕込みや焼き加減で提供しており、その味わいは千差万別です。ダルム以外にも、砂ずり、ハツ、レバーなどの鶏肉はもちろん、牛肉や野菜など、バラエティ豊かな串焼きを楽しむことができます。また、焼きとりのタレも店ごとに特徴があり、甘辛い醤油ベースのタレや、ピリ辛の味噌ダレなど、様々な味が楽しめます。

久留米の焼きとり店は、大衆的な雰囲気の店が多く、仕事帰りのサラリーマンや地元の人々で賑わっています。カウンター席に座り、焼きあがる串を眺めながら、ビールや焼酎を片手に語り合う時間は、まさに久留米の夜の風物詩と言えるでしょう。

このように、久留米には魅力的なグルメがたくさんあり、今回の夕食も、ラーメン、餃子、焼きとり(特にダルム)のどれにしようかと、出発前からずっと悩んでいました。鰻も安くて美味しいお店が多いのですが、今回は気分的に他のものが食べたかったため、早々に選択肢から外しました。

お墓参りを終え、帰路につくべく西鉄久留米駅まで歩いていると、時間はすでに18時を過ぎていました。駅周辺には飲食店が多く、どこからともなく美味しそうな匂いが漂ってきます。いくつかのお店を覗いてみましたが、なかなか決めきれずにいました。

「やはり、ここは餃子の名店『五十番』に行ってみるか…」

そう思い立ち、お店に向かうと、案の定、店の前には長い行列ができていました。時刻はまだ早いとはいえ、週末ということもあり、多くのお客さんが餃子を求めて並んでいるようです。この蒸し暑さの中、長時間並ぶのは少し気が引けました。

諦めて他の店を探そうとあたりを見回すと、近くに一軒のラーメン屋がありました。ふと店の看板を見ると、「焼きダルムあります」の文字が目に飛び込んできました。

「焼き鳥ではないけれど、あの久留米名物のダルムが食べられるのか!」

私の心は一気に惹きつけられました。このラーメン屋は、地元でも評判が良く、ラーメンも美味しいと聞いています。五十番の餃子には及ばないかもしれませんが、餃子もメニューにある。

「よし、ここにしよう!」

私は迷うことなく、そのラーメン屋の扉を開けました。店内は活気がありましたが、幸いにも待つことなく、すぐにカウンター席に案内されました。

まずは、冷えたビールを注文。プハーッと喉を潤すと、一日の疲れが吹き飛ぶようです。そして、お目当てのダルムと焼餃子を注文しました。

しばらくして、熱々のダルムと餃子が運ばれてきました。ダルムは、香ばしく焼き上げられ、独特の風味が食欲をそそります。一口食べると、コリコリとした食感と、ジュワッと広がる豚の旨味がたまりません。ビールとの相性も抜群です。餃子もまずまずの美味しさでした。

ダルムと餃子を堪能し、ビールも飲み干したところで、締めのラーメンを注文しました。しばらくして運ばれてきたとんこつラーメンは、豚骨の濃厚な香りが食欲をそそります。まずはスープを一口。まろやかでコクがあり、それでいて後味はすっきりとしています。細麺がスープによく絡み、ズルズルとすすり込むたびに、豚骨の旨味が口の中に広がります。チャーシューも柔らかく、トッピングの煮卵も重厚感があり良い味付けです。

気がつけば、スープまで飲み干していました。ああ、美味しかった。

結局、この日私が味わったのは、最高のレベルのラーメンでも、最高のレベルの餃子でも、最高のレベルのダルムでもなかったかもしれません。しかし、迷っていたものすべてを、ある程度のレベルで満たすことができたのです。

もし、餃子なら絶対に五十番、焼き鳥ならあの名店、ラーメンならあそこの老舗、と最高のレベルを求めていたら、おそらくどれか一つは諦めざるを得なかったでしょう。行列に並ぶ時間や、お店の場所などを考えると、すべてを完璧に満たすことは難しかったはずです。

選択とは、本当に難しいものです。何かを選ぶということは、他の何かを諦めるということでもあります。しかし、この日は、結果的にすべての欲求を満たすことができ、後悔のない選択をしたと心から思っています。

最高のレベルを追求することも大切ですが、時には、目の前にある選択肢の中で、自分にとって何が大切なのかを考え、柔軟に対応することも重要なのかもしれません。今回の久留米の夕食は、私にとってそんなことを改めて感じさせてくれる、満足のいくひとときとなりました。

久留米には、今回訪れたお店以外にも、まだまだたくさんの魅力的な飲食店があります。次回帰省した際には、また違うお店を訪れ、久留米の食文化をさらに深く探求してみたいと思います。とんこつラーメンの新たな名店を発掘するもよし、地元の人に愛される焼きとり屋でダルム以外の串焼きに挑戦するもよし、隠れた名店の餃子を探し求めるもよし。久留米のグルメ探訪は、私にとって尽きることのない楽しみの一つです。

そして、今回のブログを通して、少しでも多くの方に久留米の食の魅力を知っていただけたら幸いです。福岡にお越しの際は、ぜひ久留米に足を伸ばして、本場のとんこつラーメン、絶品餃子、そして奥深い焼きとりの世界を体験してみてください。きっと、忘れられない食の思い出となるはずです。

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髙栁 和浩 笑顔商店株式会社 代表取締役