先日、シンガポールからの帰りの飛行機の中で、偶然「グランメゾン・パリ」という映画を観る機会がありました。
「グランメゾン東京」の続編となるこの映画は、知人のSNSで「感動した」「絶対観るべき」といった投稿を見かけており、気にはなっていました。映画館へ足を運ぶ機会を逃してしまいましたが、ようやく観ることができました。
木村拓哉さん演じる日本人シェフが、フランス・パリでミシュラン三つ星を目指すというストーリーなのですが、異国の地でレストランを経営することの厳しさや、文化の違いによる苦労などがリアルに描かれており、思わず目頭が熱くなるほど感動しました。
この映画は、単なる料理ドラマではありません。特に私の心に深く刻まれたのは、主人公の尾花夏樹が、ワンマン経営から脱却し、チーム一丸となって目標に向かっていく過程です。
そして、この映画を観て、私は「あー、これが企業価値を上げるということなんだ」とふと思ったのです。
以前の私にとって「企業価値」とは、M&Aの時に飛び交う、どこか不透明で良いイメージのない言葉でした。そのため、意識的に避けてきたと言っても過言ではありません。
しかし今は、企業価値を高めるということは、会社を売却する、誰かに継承する、そのどちらの道を選ぶにしても、経営者であれば必ず目指すべき重要な道だと確信しています。
経営課題には大きく分けて3つの段階があると言われています。
[1] 売れる仕組みづくり
[2] 売れ続ける仕組みづくり
[3] 社長がいなくても回る仕組みづくり
そして、3つ目の「社長がいなくても回る仕組みづくり」をクリアできたとき、企業の価値は大きく向上していると推測できます。
映画に登場する尾花夏樹の店「グランメゾン・パリ」は、確かな料理の腕とお客様を惹きつける魅力で、2つ目の段階までは到達していたのかもしれません。しかし、それは尾花夏樹というカリスマシェフのワンマン経営によるものでした。彼がいなければ何も回らない、そんな危うい状態だったのではないでしょうか。
ミシュランの三つ星という揺るぎない目標を達成するためには、この状況を変えなければならない。そう悟った尾花は、仲間たちに心からの謝罪と協力を仰ぎます。
ここで重要なポイントとなるのが、「目的の共有」です。彼は皆に向かって言いました。「皆、三つ星を取るために集まったチームだと思う。本気で三つ星を取りに行く。そのために力を貸してくれ」と。
共有された目的を改めて確認し、その達成のために力を貸してほしいと、真摯に依頼したのです。
もちろん、最初は戸惑う仲間もいました。しかし、それを支えたのは彼の側近たちの存在です。彼らが中心となり、チームに新たな流れを作り出していきました。この過程を見て、組織が大きく生まれ変わる瞬間を目の当たりにしたような衝撃を受けました。本当に勉強になります。
実は、先日国内線に乗った際にも、再び「グランメゾン・パリ」を観る機会があり、またしても目頭が熱くなってしまいました。
そういえば、「グランメゾン東京」も同じように、チーム一丸となって目標に向かう物語だったことを思い出しました。近いうちに、もう一度見返してみようと思っています。
「グランメゾン・パリ」について
「グランメゾン・パリ」は、2019年にTBS系日曜劇場で放送され、大反響を呼んだ木村拓哉さん主演のドラマ「グランメゾン東京」の映画版です。2024年12月30日に公開され、世界最高峰のフレンチレストランが集まるパリを舞台に、アジア人初のミシュラン三つ星を目指すシェフたちの情熱的な物語が描かれています。
ストーリー
背景:「グランメゾン東京」が日本で三つ星を獲得してから数年後。尾花夏樹(木村拓哉)は、早見倫子(鈴木京香)と共に、フランス料理の本場・パリに新たな店「グランメゾン・パリ」をオープンさせました。彼らの目標は、アジア人として初めてミシュランの三つ星を獲得することです。
物語の展開:フランス料理の本場で三つ星を獲得することは、尾花にとって長年の夢でした。しかし、世界中の名だたるシェフたちが腕を競い合うパリでは、異国のシェフである彼にとって、満足のいく食材を手に入れることさえ困難な道のりでした。「グランメゾン・パリ」はなかなか結果を出せず、苦しい日々が続きます。そんな中、あるガラディナーでの失態がきっかけとなり、尾花はかつての師と「次のミシュランで三つ星を獲れなければ、店を辞めフランスから出ていく」という厳しい約束を交わしてしまいます。
概要
シリーズの流れ
[1] グランメゾン東京(2019年):木村拓哉さんと鈴木京香さんが主演を務めた連続ドラマ。型破りなフレンチシェフ・尾花夏樹と、才能ある女性シェフ・早見倫子が、東京でレストラン「グランメゾン東京」を開業し、ミシュラン三つ星獲得を目指す物語。
[2] スペシャルドラマ(2024年12月29日):映画公開前日に放送されたスペシャルドラマ。パリでの挑戦に至るまでの経緯や、コロナ禍で星を失う危機に直面した「グランメゾン東京」の様子が描かれています。
[3] 映画「グランメゾン・パリ」(2024年12月30日公開):ドラマの続編となる映画。舞台をパリに移し、国境を越えて世界最高峰のミシュラン三つ星を目指すシェフたちの最後の挑戦が描かれています。
主要キャスト
・尾花夏樹:木村拓哉 – 型破りなフランス料理シェフ
・早見倫子:鈴木京香 – 絶対味覚の持ち主
・平古祥平:玉森裕太(Kis-My-Ft2)
・京野陸太郎:沢村一樹
・相沢瓶人:及川光博
・久住栞奈:中村アン
作品の特徴
テーマ:「グランメゾン・パリ」は、夢を追い続ける大人たちの青春ドラマとして描かれています。料理を通じて育まれる人間関係、チームワークの大切さ、そして異文化の地での挑戦といった困難を乗り越えようとするシェフたちの熱い想いが、観る者の心を強く揺さぶります。
撮影:本格的なフランス料理の世界を描くため、実際にパリの有名三つ星レストラン「ランブロワジー」での撮影が行われ、世界初の試みとして大きな話題となりました。
興行成績:映画「グランメゾン・パリ」は公開後、大ヒットを記録し、多くの観客を動員しました。
視聴・配信情報:映画「グランメゾン・パリ」のBlu-ray & DVDは2025年8月8日に発売予定で、U-NEXTでは独占先行レンタル配信も決定しています。スペシャルドラマを含むシリーズ作品もU-NEXTで配信中です。
まとめ
グランメゾンシリーズは、料理という普遍的なテーマを通して、登場人物たちの人間ドラマを深く描き出し、日本のテレビドラマ界に新たな足跡を残しました。特に「グランメゾン・パリ」では、世界最高峰の舞台で夢を追いかけるシェフたちの姿を通して、目標に向かって努力することの美しさや、そこに伴う苦難が感動的に描かれています。
美しい料理の映像とともに、登場人物たちの成長と絆を描いた本作は、単なる料理ドラマという枠を超え、観る人に勇気と感動を与える傑作と言えるでしょう。

髙栁 和浩 笑顔商店株式会社 代表取締役