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ふと立ち寄った日本橋で見つけた「江戸前ロカボ」。そこから見えた日本の食と医療の深い闇、そして「真の健康」への希望

プロローグ:伝統の街で出会った「革新」

先日、仕事の合間にふと東京・日本橋で食事をしました。 老舗が立ち並ぶ情緒ある街並み。そこで何気なく入ったお店のメニューに、見慣れない言葉を見つけました。

「ロカボ」という言葉自体は聞いたことがありましたが、「江戸前」と「ロカボ」。一見すると水と油のような組み合わせです。 江戸前といえば、寿司、天ぷら、鰻、蕎麦。どれも「白米」や「小麦」、そして甘辛い「タレ(砂糖)」が命の、いわば「糖質の塊」のような食文化です。

「ご飯をメインとするお店で、糖質制限なんてできるのか?」そんな素朴な疑問と好奇心から、少し詳しく調べてみることにしました。しかし、その先に待っていたのは、単なる「ダイエット食」の話ではありませんでした。それは、私たちが直面している日本の深刻な健康問題、歴史的背景、そして社会構造の闇にまでつながる、衝撃的な気付きの入り口だったのです。

第1章:江戸前ロカボとは何か?〜伝統と健康の融合〜

調べてみると、「江戸前ロカボ」は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの時に、日本橋の老舗企業や名店が立ち上がった一大プロジェクトであることがわかりました。

そのコンセプトは「おいしく楽しく適正糖質」。

極端に糖質をカットするのではなく、緩やかに制限しながら(1食20〜40g)、食の楽しみを損なわないことを目指しています。驚くべきは、その参加企業の顔ぶれと工夫です。

・榮太樓總本鋪:江戸時代から続く和菓子の名店が、血糖値を上げにくい「糖質制限ようかん」を開発。

・にんべん:鰹節の老舗が、糖質を抑えたつゆを開発。

・寿司店:シャリを控えめにしたり、糖質の高い具材を工夫したりした「ロカボ寿司」を提供。

「伝統を守る」ことと「新しい健康価値を取り入れる」こと。この二つを両立させようとする老舗の心意気に、私は強く胸を打たれました。 しかし同時に、ふとした疑問が頭をもたげました。

「なぜ今、伝統ある日本橋がここまでして『糖質』を気にしなければならないのか?」

その背景を探っていくと、日本という国が抱える恐ろしい現実が浮かび上がってきたのです。

第2章:長寿大国日本の「不都合な真実」

私たちは日本を「世界トップクラスの長寿大国」だと誇りに思っています。しかし、その内実はどうでしょうか。

❶ 糖尿病予備軍2000万人の衝撃

厚生労働省や関連団体のデータを紐解くと、背筋が凍るような数字が並んでいます。

・糖尿病が強く疑われる人:約1,100万人

・糖尿病の可能性を否定できない人:約1,000万人

合計約2,000万人。これは日本の成人人口の極めて大きな割合です。さらに、高血圧症患者は約4,300万人。日本人の3人に1人が高血圧という計算になります。

❷ 「寝たきり期間」世界一

さらに衝撃的なのが「健康寿命」と「平均寿命」のギャップです。 日本人の平均寿命は確かに長い。しかし、亡くなるまでの「寝たきり(要介護)」期間もまた、世界トップクラスに長いのです。

・男性:約9年

・女性:約12年

人生の最後の約10年を、ベッドの上で過ごす。これが私たちの国の「長寿」の正体です。 なぜ、これほどまでに生活習慣病が蔓延し、健康寿命が蝕まれているのでしょうか?その原因を深く掘り下げていくと、私たちが無意識に受け入れている「3つの常識」が、実は私たちの首を絞めていることに気づきました。

第3章:私たちを蝕む「三重の壁」〜歴史・文化・制度〜

なぜ日本人は糖質を摂りすぎてしまうのか。そして、なぜそれを止めることがこれほど難しいのか。考察を進めると、そこには日本特有の構造的な要因が見えてきました。

❶ 「米文化」というDNA

日本人の米食の歴史は弥生時代に遡ります。 江戸時代後期には、成人男性は1日約3合(茶碗約6杯分)もの米を食べていたという記録もあります。 「ご飯をお腹いっぱい食べる」ことが豊かさの象徴であり、幸せそのものでした。 私たちのDNAには、「ご飯=主食=善」という図式が深く刻み込まれています。さらに、日本人は遺伝的にインスリン分泌能力が欧米人より低く、「痩せていても糖尿病になりやすい」という体質を持っています。 体質的には糖質に弱いくせに、文化的には糖質を崇拝している。このミスマッチが悲劇の始まりです。

❷ 「職人文化」の功罪

日本の食文化の素晴らしさは、職人たちの「お客様を喜ばせたい」という情熱によって支えられてきました。 しかし、その「おいしさの追求」が、皮肉にも糖質過剰を加速させました。 煮物、照り焼き、すき焼き、そして美しい和菓子。 職人たちは技術を磨き、砂糖やみりんを巧みに操り、脳が喜ぶ「甘み」と「旨み」を極限まで引き出しました。 「美味しいものを食べてほしい」という職人の善意が、結果として現代人の糖質過剰摂取の一因となっているのです。

❸ 「国民皆保険」という甘い罠

そして極めつけが、世界に誇る「国民皆保険制度」です。 誰でも、いつでも、安価に高度な医療を受けられる。これは素晴らしいことです。しかし、その安心感が、皮肉にも私たちの「予防意識」を奪っています。

「病気になったら病院に行けばいい」 「薬をもらえばなんとかなる」海外、特にアメリカのように医療費が破産を招くような国では、人々は必死で食事管理や運動を行います。しかし日本では、「安く治療できる」がゆえに、「高くつく予防(食事の改善など)」にお金をかけようとしません。 山田悟先生(北里研究所病院)の「病気になって支払う医療費を考えれば、食事に投資する費用は安いもの」という言葉は、この制度的欠陥を鋭く突いています。

第4章:報道されない「闇」〜医療・食品・メディアの構造〜

ここまで調べて、さらなる疑問が湧きました。 「糖質の摂りすぎがこれほど危険で、糖尿病やがんのリスクを高めるなら、なぜもっと大々的に報道されないのか?」

がん細胞がブドウ糖を大量に消費することは、1931年にノーベル賞を受賞したオットー・ワールブルグ博士によって発見されています。糖質制限ががん治療の補助として有効である可能性を示す研究も出てきています。 しかし、テレビや新聞で「ご飯やパンを減らして、がんを防ごう」という特集が組まれることは稀です。むしろ、「極端な糖質制限は危険」というネガティブな情報ばかりが目につきます。

そこには、巨大な「利益の構造」が見え隠れします。

❶ 誰も「予防」で儲からない

冷徹な事実として、予防医療が普及し、みんなが健康になってしまうと困る人たちがいます。

・製薬会社:高血圧や糖尿病などの慢性疾患は、一度発症すれば死ぬまで薬を飲み続けてくれます。これほど安定した収益源はありません。

・医療機関:患者が減れば、経営が成り立ちません。

・食品メーカー:安価で依存性の高い「糖質(小麦、砂糖、米)」を使った加工食品は、最も利益率が高い商品です。

❷ メディアの沈黙

そして、それらの企業はテレビや新聞の「大口スポンサー」です。 スポンサーの商品(ビール、お菓子、即席麺など)を否定するような情報を、メディアが流せるはずがありません。

私たちは「悪意ある結託」があると思いがちですが、実際はもっとシンプルで強固な「利益の一致」です。 既存の産業構造を守るためには、「糖質制限」というパラダイムシフトは邪魔な存在なのです。 だからこそ、私たちは「日本は長寿大国」という心地よい情報の裏で、世界一長くベッドの上で過ごす現実を知らされないまま生かされているのかもしれません。

第5章:覚悟を決めるのは「あなた」しかいない

ここまで、かなり絶望的な話をしてしまいました。 遺伝子、文化、制度、そして産業構造。 日本には、糖質制限を阻む壁が幾重にも張り巡らされています。普通に生活していれば、コンビニの誘惑に負け、飲み会でシメのラーメンを食べ、病気になれば薬を飲むというレールに乗せられてしまいます。

「国がなんとかしてくれる」 「テレビが正しいことを教えてくれる」

そう思っているうちは、私たちはこの構造の「養分」でしかありません。 しかし、希望はあります。それが冒頭の「江戸前ロカボ」です。

変化の兆しは「現場」から

国や巨大企業が変わるのを待っていては、私たちの健康寿命は尽きてしまいます。 しかし、日本橋の老舗の旦那衆のように、危機感を持った個人や企業が動き始めています。 「伝統を守りながら、今の時代に合わせて変化する」 この柔軟性こそが、閉塞感を打破する鍵です。

私たち個人にできることは何でしょうか? それは、「知って、選ぶ」ことです。

[1] 情報の裏を読む:「○○は健康にいい」という情報の裏で、誰が得をしているのかを考えるリテラシーを持つ。

[2] 完璧を目指さない:いきなりゼロにする必要はありません。「ロカボ」のように、ご飯を半分にする、夕食だけ控える。小さな一歩から始める。

[3] 投票としての消費:江戸前ロカボのような取り組みをしている店を選ぶ。低糖質商品を買う。消費者が変われば、企業も変わらざるを得ません。

エピローグ:次世代への「ごちそうさま」

「江戸前ロカボ」との出会いは、単なる食事の話を超えて、私の生き方に対する考えを変えるきっかけとなりました。

職人が作った美味しいものを、心から楽しむ。 でも、それは自分の健康を犠牲にするものであってはいけない。 そして、その健康な体で、長く人生を楽しみ、社会に貢献し続ける。

それこそが、「人生100年時代」における本当の意味での「食の豊かさ」ではないでしょうか。

巨大な社会システムを変えることは難しいかもしれません。 でも、「今日のお昼、何を選ぶか」を変えることは、今すぐできます。 その小さな選択の積み重ねが、10年後、20年後のあなたを「寝たきり」から救い、そしていつか、この国を「真の健康長寿大国」へと変えていくはずです。

日本橋の片隅で始まった小さな革命。 あなたも、今日から自分の食卓で「ロカボ革命」を始めてみませんか?

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髙栁 和浩 笑顔商店株式会社 代表取締役