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【徹底検証】カフェで遭遇した謎の「麹水」。味は正直微妙?それでもなぜ流行るのか?科学的根拠とブームの正体を完全解剖

はじめに:カフェでの奇妙な出会い

先日、ふと立ち寄ったカフェでのこと。メニュー表を眺めていると、見慣れない文字が目に留まりました。

あまり聞き覚えのない名前です。甘酒でもない、塩麹でもない、ただの「麹の水」。

なんとなく気になった私は、好奇心に負けて注文してみることにしました。

運ばれてきたグラスを見て、まずは一口。

正直な感想を言いましょう。「……うん、水だ」。

正確には、若干麹の香りがする水です。味はほぼありません。美味しいかと聞かれれば、決して「美味しい!」と声を大にして言うほどのものでもありません。ほんのりと、あの独特の発酵臭が鼻をかすめる程度です。

しかし、店員さんや周囲の話を聞くと、どうやら最近これが密かに流行っているらしいのです。「魔法の発酵水」なんて呼ばれているとかいないとか。

味気ない水がなぜブームに?気になった私は、この「麹水」について徹底的に調べてみることにしました。するとそこには、現代人の健康志向と、少し危うい「科学的根拠」の狭間が見えてきました。今回は、私の体験談を皮切りに、麹水の正体、市場の動き、そして科学的な真実について、深く切り込んでいきたいと思います。

第1章:世間で言われている「麹水」の効能

まず、一般的に「麹水」にはどのような効果があると言われているのでしょうか。ネットや健康雑誌で語られている主なメリットをまとめてみました。いわゆる「謳い文句」というやつです。

🌟 腸内環境の改善・便秘解消

これが最大のメリットとして挙げられています。麹が生み出す「オリゴ糖」が、腸内の善玉菌(ビフィズス菌など)のエサになり、腸内環境を整えるとのこと。特に午前中に飲むことで、排泄(デトックス)を促す効果が高まるとされています。

💪 免疫力の向上

発酵食品全般に共通するロジックですが、腸には免疫細胞の多くが集まっています。腸内環境が改善されることで免疫細胞が活性化し、風邪などを引きにくい体を作るというわけです。

女性に嬉しい美容効果

・美肌効果:ビタミンB群が肌の新陳代謝(ターンオーバー)を促進。

・美髪効果:細胞再生を助け、髪や爪の健康をサポート。

・アンチエイジング:抗酸化作用によるシワ・たるみ予防。

🔥 代謝アップとダイエット効果

ビタミンB群は、糖質や脂質をエネルギーに変換する際の補酵素として働きます。これにより基礎代謝が向上し、さらに「リパーゼ」という酵素が脂質分解を助けるため、ダイエットにも良いと言われています。

麹水に含まれるとされる栄養素

これらを支える成分として挙げられているのが以下です。

・ビタミンB(B1・B2・B6・B12):疲労回復の王様。

・ミネラル(カリウム、マグネシウムなど):血圧降下や抗炎症。

・酵素(アミラーゼ、リパーゼ):消化吸収を助ける。

・アミノ酸:体の構成要素。

これだけ並べられると、確かに「魔法の水」のように見えてきます。しかし、ここで一度立ち止まって冷静に考える必要があります。「それ、本当に証明されているの?」

第2章:【冷静な視点】科学的検証はどこまで進んでいるのか?

ここが今回の記事の肝です。巷に溢れる健康情報は、しばしば拡大解釈されます。私が調査した結果、麹水には「科学的な曖昧さ」が残されていることが分かりました。

 「麹水」固有の研究はほぼ皆無

学術論文や研究データベースを検索しても、「麹水(Koji Water)」そのものを対象とした臨床試験や論文は、現時点ではほとんど見当たりません。

根拠の多くは「推測」ベース

では、なぜあんなに効能が語られているのか。それは「甘酒」や「米麹そのもの」の研究データを借用しているからです。

・甘酒の研究:金沢工業大学などが実証実験を行っており、便通改善や腸内環境への影響についてのエビデンスがあります。

・米麹の研究:麹菌が生成する酵素やビタミンの分析データは豊富にあります。

ロジックとしてはこうです。

[1] 「甘酒には健康効果がある(証明済み)」

[2] 「甘酒は米麹から作る」

[3] 「麹水も米麹を使う」

[4] 「だから、麹水にも同じ効果があるはずだ(推測)」

この「はずだ」という部分が、科学的検証としては弱いのです。水に浸出しただけの状態で、甘酒と同等の成分量が溶け出しているのか? 吸収率はどうなのか? そういった「麹水」に特化した検証データは、まだ驚くほど浅いのが現状です。

なぜ検証が進まないのか

理由はシンプルです。

・歴史が浅い:後述しますが、麹水ブームは2018年頃から。研究するには時間が足りません。

・資金の問題:大手飲料メーカーが主導する商品ではないため(多くは家庭での手作り)、大規模な臨床試験を行うスポンサーがいません。結論として、「体に良い可能性は極めて高いが、科学的に厳密に証明されたわけではない」というのが、今のところの真実です。過度な期待は禁物ですが、米麹自体は安全な食品ですので、試してみる価値はある、といった距離感が適切でしょう。

第3章:間違いやすい!「特水」と「麹水」の違い

ここで一つ、消費者が陥りやすい罠について解説します。

最近、サントリーから発売されている「特水(とくすい)」という商品をご存知でしょうか? パッケージの雰囲気や「発酵」というキーワードから、これを麹水と混同している人がいますが、これは全くの別物です。

項目特水(サントリー)麹水(一般的な発酵飲料)
原料米ぬか発酵物 (HMPA)米麹
発酵対象米ぬかを発酵させたもの米に麹菌を繁殖させたもの
目的内臓脂肪を減らす(機能性表示食品)腸活・美容・健康全般
味・見た目無味無臭・透明ほんのり甘い・白濁
分類機能性表示食品発酵飲料

最大の違いは、原料が「米ぬか」か「米麹」かです。サントリーの特水は、ダイエット(内臓脂肪減少)を目的とした機能性成分を配合した水であり、今回私がカフェで飲んだ、米麹を水に浸した「麹水」とは出発点が異なります。

第4章:深掘り解説「米ぬか vs 米麹」

「米ぬかと米麹、どっちも米でしょ?」と思った方のために、さらに深掘りします。この二つは、生物学的にも製造過程的にも全く異なります。

🌾 米ぬか(Rice Bran

・正体:玄米を白米に精米する時に削り取られる「外側の皮」。

・例え:みかんで言うところの「皮」。普段は捨てられることが多い部分です。

・成分:実は玄米の栄養の90%近くがここにあります。食物繊維や油分が豊富ですが、発酵はしていません(特水はこれを加工して発酵させています)。

🍚 米麹(Rice Koji

・正体:蒸したお米(白米や玄米)に、コウジカビという「菌」を植え付けて繁殖させたもの。

・例え:牛乳を発酵させた「ヨーグルト」。もはや元の米とは別の形質を持っています。

・成分:菌が生きる過程で出した「酵素」や「ビタミンB群」が主役です。

結論:サントリーの特水は「皮(ぬか)」由来の成分を使ったダイエット水。カフェの麹水は「菌(こうじ)」の力を借りた腸活水。似て非なるものなのです。

第5章:麹水ブームの歴史と市場のこれから

そもそも、なぜ今「麹水」なのでしょうか。歴史を紐解くと、日本人の発酵愛の変遷が見えてきます。

周期的にやってくる「麹ブーム」

実は、麹関連のブームは数年おきに形を変えてやってきています。

【1】2012年:塩麹ブーム

大分県の「糀屋本店」浅利妙峰さんが火付け役。江戸時代の文献をヒントに復活させ、万能調味料として定着しました。

22016年:甘酒ブーム

「飲む点滴」というキャッチコピーが大ヒット。

32018年〜現在:麹水ブーム

甘酒よりも手軽で、糖質もカロリーも低いものとして注目され始めました。

伝統食ではない?

ここで重要なのは、味噌や甘酒、日本酒が千年以上続く伝統食であるのに対し、「麹水」は2018年頃に生まれた比較的新しい飲み方だという点です。「昔からの知恵」というよりは、「現代のライフスタイルに合わせた麹の新しい活用法」と言えます。

今後の市場はどうなる?

現在、カフェでの提供が増えています。新潟の甘酒専門店などが、従来の「甘ったるい」イメージを払拭したスタイリッシュな麹ドリンクを開発しています。

さらに、業界の裏話として、ペットボトル飲料化(OEM)の動きもあるようです。「水のようにゴクゴク飲める発酵飲料」として、コンビニに並ぶ日も近いかもしれません。

第6章:実践!麹水の作り方と飲み方

最後に、自宅で試してみたい方のために基本的なレシピをご紹介します。科学的な証明はまだ途中ですが、味はさっぱりしており、リフレッシュには最適です。

基本のレシピ

・材料:乾燥米麹(または生麹)…適量、水…500ml

・作り方:お茶パックに麹を入れ、水を入れたボトルに浸すだけ。

・保存:冷蔵庫で一晩(約8時間)置けば完成。

飲み方のポイント

・量:1日500mlを目安に。

・タイミング:朝の排泄リズムを整えるなら午前中がおすすめ。

・賞味期限:作ったら必ず冷蔵保存し、その日のうちに飲みきりましょう(発酵が進みすぎたり、雑菌が繁殖するのを防ぐため)。

・残った麹:捨てずに、お風呂に入れたり(麹風呂)、料理に使ったりして再利用できます。

編集後記:ブームを賢く楽しむ

カフェで出会った一杯の「味気ない水」。

しかしその背後には、日本人の健康への飽くなき探求心と、発酵文化への回帰、そしてマーケティングの巧みさが隠されていました。

「魔法の水」と盲信するのではなく、「日本の伝統的な菌の力を、現代風にライトに取り入れる習慣」として楽しむのが、最も賢い付き合い方かもしれません。美味しくはないけれど、体の中から綺麗になりたい。そんな淡い期待を込めて、明日の朝も一杯飲んでみようかと思います。

皆さんも、カフェで見かけたら(あるいはスーパーで米麹を見かけたら)、話のネタに一度試してみてはいかがでしょうか?

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髙栁 和浩 笑顔商店株式会社 代表取締役