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【実食】ガストの「博多もつ鍋」が想像以上に本気だった。やまや監修1,290円の衝撃と、もつ鍋が国民食になった日。

ついに、この日がやってきました。

全国に店舗を構えるファミリーレストランの雄・ガストが、期間限定の目玉メニューとして「もつ鍋」を投入したのです。もつ鍋といえば、福岡・博多が世界に誇るローカルフード。それが今、近所のガストで、しかも1,000円ちょっとで食べられる。

今回は、この「ガスト版もつ鍋」を実際に食べてわかった衝撃のクオリティと、もつ鍋が歩んできた苦難の歴史、そして2026年現在の最新トレンドまでを徹底的に語り尽くします。

もつ鍋「全国制覇」への長すぎる道のり

今でこそ、東京でも地方でも当たり前に食べられるようになったもつ鍋ですが、ここに至るまでにはいくつかの大きな波(ブーム)と、手痛い失敗がありました。

第一次ブームの挫折:加工品の誤算

最初のブームは1990年代前半に遡ります。この時、大手食品メーカー各社がこぞってもつ鍋の加工品を商品化しました。しかし、結果は散々なものでした。

理由は明白で、「素材の差」です。

専門店の味: プリプリとした食感と甘みが特徴の「国産生モツ(牛の内臓肉)」を使用。

当時の加工品: コストと保存性の観点から、輸入された「ボイルモツ」を使用。

ボイルされた輸入モツは、特有の臭みが出やすく、食感もゴムのように硬くなってしまいます。本場の味を知る人にとっても、初めて食べる人にとっても「似て非なるもの」として映り、一部のメーカーを除いてほとんどが撤退を余儀なくされました。

第二次・第三次ブーム:本場の「逆襲」

その後、2000年代に入り、もつ鍋専門店が東京へ本格進出し始めたことで潮目が変わります。さらに第三次ブームでは、博多で圧倒的な支持を得る「本場の名店」が続々と都心部へ出店。

「本物の味」が広く認知されるようになり、もつ鍋は単なるブームから、冬の定番鍋料理としての地位を確立していきました。

ガスト×やまや:最強のタッグが実現

そんな歴史を経て、2026年の今。ガストが打ち出したのが、明太子の名門「やまや」監修のもつ鍋です。

やまやは近年、外食事業(博多もつ鍋やまや)において、ランチの明太子食べ放題などで爆発的な人気を博しており、いわば「もつ鍋のプロ」でもあります。

ガストのメニュー表を開くと、そこには誇らしげに「博多もつ鍋」の文字が。

味は「醤油」と「みそ」の2種類。価格は、ご飯と明太子が付いて1,290(税込)。

正直に言いましょう。この価格設定を見た瞬間、「流石はガスト」と唸らされました。専門店なら鍋単品で2,000円近くすることも珍しくない中、このセット価格は驚異的です。

【実食】「醤油味」を食べてみた

今回は、もつ鍋のスタンダードである「醤油味」をチョイスしました。

しばらくして運ばれてきたのは、既に調理が完了した状態の鍋と、一人用の固形燃料コンロ。ガストらしい効率性と、最後まで熱々で食べてほしいというこだわりが同居したスタイルです。

スープの完成度は「本物」

まずはスープを一口。

……うまい。」

思わず独り言が漏れました。流石はやまや監修。醤油のキレと、野菜、そしてもつの脂が溶け出した甘みが絶妙なハーモニーを奏でています。ファミレスのスープと侮るなかれ、これは完全に「専門店の系譜」にある味です。

もつ肉のクオリティ

肝心のもつ肉ですが、正直に言えば、専門店の最高級生モツに比べれば若干の硬さは感じます。しかし、かつての第一次ブームで落胆したような「ゴムのようなモツ」では決してありません。

博多の居酒屋で、コース料理の一部として出てくるもつ鍋と比較しても、全く遜色のないレベル。むしろ、1,290円という価格を考えれば、十分すぎる満足度です。

影の主役「チューブ明太子」

セットについてくる明太子は、おそらくコストの関係で「チューブ入り」のものだと思われます。しかし、これがまた良い。

ご飯の上にトッピングする際、粒立ちがよく馴染みやすい。この「明太子ご飯」ともつ鍋のスープを交互に口に運ぶ瞬間は、まさに至福のひとときです。

データで見る「もつ鍋」の現在地(2025-2026年)

もつ鍋は今、どれくらい人気があるのか? 2025年から2026年にかけての最新調査データを見てみると、その「国民食」っぷりが一目瞭然です。

鍋料理ランキングでの躍進

調査項目順位・結果
2025 好きな鍋ランキング全国 4
家庭で作られる鍋料理(紀文調査)6 (21.0%)
食べてみたいご当地鍋ランキング3 (1,231票)

発祥地の九州では全国平均の2倍以上の人気を誇りますが、注目すべきは「全国的な広がり」です。特にコンビニ各社の戦略が、この人気を後押ししています。

コンビニ各社の「もつ鍋」戦略

セブンイレブン: 「7プレミアム もつ鍋」を全国展開。レンジで温めるだけで専門店の味を楽しめるとして、2026年現在も定番化しています。

ローソン: 九州限定で「からあげクン もつ鍋味」を出すなど、地域に根ざした「特別感」を演出。

エバラ食品: 鍋の素シェア1位の「プチッと鍋」シリーズに、九州限定で「もつ鍋醤油味」を投入。

これら「家で食べるもつ鍋」の普及により、消費者の舌が肥えたタイミングで、ガストは「外食としての正解」を提示したと言えます。

これからのもつ鍋:ソロ鍋文化の定着

今回、ガストでもつ鍋を食べていて感じたのは、「新しい食の提案」としての側面です。

これまでの鍋料理は、一つの大きな鍋を皆で突っつく「コミュニケーション」のツールでした。しかし、ガストのスタイルは、コンロまで一人ずつ分かれた「パーソナルな鍋」。

これは、コロナ禍を経て定着した「個食」のスタイルであると同時に、自分のペースで、自分の好きな味(醤油か、味噌か、〆は何にするか)を追求できる、非常に現代的な食べ方です。

別料金で用意されている「〆の中華めん」「雑炊セット」までたどり着けば、そこはもう立派な一人もつ鍋専門店。 この手軽さが全国に広まることで、もつ鍋専門店は驚異を感じるかもしれませんが、私はむしろ「もつ鍋市場全体の拡大」につながる大きなチャンスだと考えています。

結論:もつ鍋が日本の冬を塗り替える

ガストがもつ鍋をメニュー化したこと。それは、博多のソウルフルな味が、ついに日本全国どこでも、誰でも、気軽に楽しめる「国民食」としてのステージに到達したことを意味しています。

ガストで初めてもつ鍋に出会い、その魅力に触れた層が、次は博多の本店を訪れたり、よりこだわりの強い専門店を探したりする。こうした入り口の広がりが、結果として本場の文化をより強固にし、次世代へとつないでいく好循環を生んでいくのではないでしょうか。

博多のソウルフードが全国的な認知度を得る日は、もうすぐそこまで来ています。

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髙栁 和浩 笑顔商店株式会社 代表取締役